金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
「謙遜しないで。バラバラだったNフィルが生き返ったのよ」

「オケの元々の力が開花したんだ」

「譲らないわね。そう云うことにしておくわ。ねえ、休みはいつ? 都合のつく日は?」

詩月はスケジュール帳を開いて、空いている日を確かめた。

「自棄にせっつくんだな」

「あなたと演奏したくてコンクール、頑張ったんですもの」

「大学と工房と調律学校で週末くらいしか……サロン演奏は緊張するだろ?」

「サロン……格式のある所でしょう?」

「安坂さんは初日、ガチガチで引くほど緊張していた。んーーBALで動画を撮るけど、参加するか」

詩月は考えあぐねて訊ねた。

「いいの? やってみたい」

「ビアンカには伝えておく。日時は連絡する」

午後7時半過ぎの電話だ。

詩月は風呂上りでひと息つき、工房で習ったことを頭の中でお復習(さらい)し整理しているところだった。




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