金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

chapter 2ーー目標

10月末。

工房では就労後に、カボチャのパイが振る舞われた。

社長の妻がカボチャをくりぬいて、ジャックオーランタンを作り、くりぬいたカボチャの中身を調理したのだと云う。

工房の玄関隅にも、ジャックオーランタンが飾られていた。

詩月は日本ではハロウィーンに仮装してお祭り騒ぎたが、本来は弔いの儀式なのだということを改めて教えられた。

工房で事務員をしている社長の娘は、職員全員に袋詰めのお菓子を配った。

シュテファン寺院では、翌日の諸聖人の日の礼拝に合わせ、工房にピアノの調律依頼があり、詩月と先輩調律師で念入りに調律した。

詩月が調律した音を確かめるために演奏した讃美歌は、一際澄んだ音色で教会に響き渡った。

「長年、讃美歌のピアノは聴いていますが、あなたの演奏する音色が1番胸に染み入ります」

司祭は詩月に向かって手を合わせ、胸の前で十字を切った。
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