金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
「あと約2年か」

「ええ。この国と日本の調律師資格は少し制度が違います。日本は楽器メーカーが……」

日本ではピアノ調律師になるには、主に専門学校や楽器メーカーの養成機関で1年~3年ほど知識と技術を学ぶのが一般的だ。

卒業後は楽器店や調律工房に就職し、現場で実務経験を積む。

特別な資格は必須ではないが、国家資格「ピアノ調律技能士」の取得が推奨される。

詩月が先輩調律師に日本の状況を簡単に話すと、「名前だけの調律師とかもいるかもしるないな」と顔をしかめた。

「ですね。でも僕は1通り調律できる程度で、調律師を名乗るつもりはないですから」

「お前の腕前は今でもじゅうぶん信用できるぜ。何処に出してもイケル」

「先輩。僕はBALのピアノをきちんと調律できる調律師になりたいんです」

「BALのピアノ……あのボロピアノか。あれはただ調律したくらいではな~」


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