金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
まだウィーンでの演奏に不慣れな小百合の演奏をさりげなく支えていた。

共に演奏する小百合との調和をしっかりと保っている。

詩月は普段の小百合からは元気で忙しなくチャキチャキした印象を受ける。

だか、小百合の演奏からは、それを全く感じなかった。

優しく落ち着いた甘露の雨が降り注ぐようだった。

ーーなかなかやるじゃないか。安坂さんの「雨の歌とはまるで違うし、安坂さんの「雨の歌」にも負けていない

詩月は女性らしい視点で奏でる「雨の歌」だと、思った。

ビアンカが詩月と小百合の演奏を間近で、撮影している。

ビアンカは詩月から礼拝後、シュテファン広場で小百合とヴァイオリン演奏すると聞いて駆けつけたのだった。

詩月と小百合の演奏を撮影しながら、あの賑やかな電話の主が、小柄なごく普通の女の子だったことに驚いている。

ビアンカはもっと派手な容姿を想像していた。
< 51 / 56 >

この作品をシェア

pagetop