金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
episode4ーー

chapter1ーー

「あっ」

ビアンカが声を上げ、周囲の視線が詩月と小百合に集中していた。

「弦を張り替えたばかりだっただろ? 応急処置はしたけれど、ちゃんとケアしないとな。演奏の続きはまた今度な」

「う、うん」

小百合は赤い顔のまま、頷いた。

「詩月、大胆だね。ハラハラするよ」

ビアンカが「ねえ、小百合」と小百合に同意を求めた。

小百合は胸の鼓動を鎮めるのが精一杯だった。

「詩月、小百合。BALで消毒して、ひと息しよう。すぐ片付けるから」

ビアンカは機材を片付けながら、小百合を気遣って話し続けた。

電話越しに聞こえた小百合の声の調子から受けた印象と、まるで違うシャイな様子に戸惑っていた。

「BALは営業しているのか」」

「うん。飲んべえたちに休肝日はないからね」

「マスターは人が良すぎる」

「だね。仕事も人も好きなのかも」
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