金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
ーー会って話したばかりのビアンカに何で話しているんだろう

「小百合は詩月のことが好きなんだね」

「ビ、ビアンカ!?……詩、詩月くんに聞こえちゃう』

小百合は真っ赤な顔で俯いた。

「大丈夫。話し声くらいで起きないし、詩月はこういう話には疎いから。詩月は自分が普段、周りから振り返って観られていることにも気づいてないんだよ」

「でも……」

「小百合。ちゃんとアピールしなきゃ、小百合の気持ち。詩月は伝えなきゃ、ずっと気づかないよ」

「でも……詩月くんには郁子がいるわ」

「郁子ーー緒方のこと?」

「うん……緒方郁子」

「遠慮していたら、気持ちは伝えられない。緒方はウィーンに居ないよ。それに……」

ビアンカは言いかけて、小百合を見つめた。

「あたしが話していいことではないから……」

ポツリと呟いた。

「郁子と詩月くんがとうかしたの?」
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