金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
「ん……あたしからは話せないよ。詩月は人が良すぎるよ。郁子の行く道を応援すると決めているんだ」
昨年9月に、小百合は郁子が突然、転科したことは知っている。
転科したのは腱鞘炎で数カ月休学し、復学して間もなくだった。
詩月が昨年の夏に帰国した時、郁子と会って話をしたと聞いたが、話の内容は知らない。
「ビアンカ。詩月くんは郁子と別れたの?」
小百合は人が良すぎるとは、もしかしたらと思った。
「……だから、あたしの口からは言えないよ。ただ昨年の11月頃郁子からかかってきた電話は涙声だった。郁子からの電話はあれから数カ月に1度くらいになったみたい」
ーーそうだ。郁子は中学2年生の時に、ピアノコンクールで詩月くんに負けて以来ずっと、詩月くんは郁子の目標だったし、郁子は詩月くんのことが好きだった
小百合は郁子から詩月くんに別れ話を切り出すはずがないと思った。
昨年9月に、小百合は郁子が突然、転科したことは知っている。
転科したのは腱鞘炎で数カ月休学し、復学して間もなくだった。
詩月が昨年の夏に帰国した時、郁子と会って話をしたと聞いたが、話の内容は知らない。
「ビアンカ。詩月くんは郁子と別れたの?」
小百合は人が良すぎるとは、もしかしたらと思った。
「……だから、あたしの口からは言えないよ。ただ昨年の11月頃郁子からかかってきた電話は涙声だった。郁子からの電話はあれから数カ月に1度くらいになったみたい」
ーーそうだ。郁子は中学2年生の時に、ピアノコンクールで詩月くんに負けて以来ずっと、詩月くんは郁子の目標だったし、郁子は詩月くんのことが好きだった
小百合は郁子から詩月くんに別れ話を切り出すはずがないと思った。