踏んで、蹴ったらホれられた
「もういい! けったいな女だ、こんな分不相応な人間が紛れ込んでいるとはこの主催者は何をしている」

 む、そんなに言わなくていいじゃない

 私は人のことを身分で判断するような男の物言いにカッとなる

 ガッ!!

「痛ッ!!!!」

 男が今度は逆の脚のすねを抱え込んでしゃがみ込む。ざまぁみろ。

 私は蹴った。正面から。

 そして、そのまま会場の外へと繋がる扉の方へとズカズカと歩いていく

 壁に近いところでよかった、出口はすぐそこだ

 ずんずんずん、出口にたどり着いた瞬間に私は駆け出す。そして豪華な赤いカーペットが敷かれた階段を駆けおりたそのとき……

「私、なにやってんの?」

 自分のおかしたことに遅れて気付き、再び血の気がサァーっと引いていく今度は取り返しがつかない。だって自分の怒りに任せて自分の意思でやってしまったのだからっ!!

 どうしようっ今から戻って謝る? いや、そんなことしたら会場中の注目を浴びる

 階段、3段分を行ったり来たり

 あぁ、また人のことを考える前に自分の心配を……! 私ったら何してるのっ

 すると、さっきの彼が会場の出口から顔を出す。動けてる。とりあえず大丈夫そうだ

「待てっ!! 逃がさないぞ」

 彼が階段を駆けおりる。タッタッタッタッタッ

 ついには私の前までやって来た

「待て、話がある……来い!!」

 腕をつかまれ、ぐっと引っ張られてどこかへ連れていかれる

 いったいどこへ……?!
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