君の隣で、私になれた
第4章 気づかない恋
第28話「まぁ噂だけどね」
噂は誰かが作るものじゃない。
誰かが少し話を足すだけで。
本当とは違う形になっていく。
ーー三田キャンパス。
昼休み。
文学部棟前。
莉桜が出てくる。
「お、来た」
文学部棟の前で待ってた琉生。
「莉桜、授業終わった?」
「終わった!」
少しだけ立ち話をする2人。
他愛ない会話。
紅羽からLINE。
『もう学食いるよー』
「行くか。」
学食で紅羽と合流する。
この頃から。
昼休み。
経済学部の琉生が。
文学部へ来ることが少しずつ増えていた。
理由なんて本人は考えていない。
「最近どう?」
「大丈夫?」
それだけ。
でも。
周りには違って見えていた。
ーー文学部。
女子学生。
「また神崎くん来てる」
「最近毎日じゃない?」
「成瀬さんと仲良いよね」
「この前も2人でずっと話してたし」
「もしかして付き合ってる?」
「でも彼氏いたよね?」
「別れたらしいよ」
「ほんと?」
「知らないけど絶対そうでしょ」
笑う。
噂は…
文学部から。
商学部。
経済学部へ。
少しずつ広がっていった。
そして本人たちの元へー…
「莉桜!彼氏と別れたの!?」
「え?」
「大学中で噂になってるよ!」
「神崎くんと付き合ってるって!」
「ほんとなの!?」
莉桜は目を見開く。
「え、なにそれ……」
「別れてない!」
「それに琉生とも付き合ってない!」
必死だった。
「ほんと?」
「ほんと!」
でも、胸がざわつく。
湊。
その言葉が頭をよぎる。
顔色が変わった。