君の隣で、私になれた

第32話 「足りない」



ーーー大学4年生の秋。

ーー琉生side.



大学近くの居酒屋。

文学部と経済学部。

10人ほど。


「かんぱーい!」

グラスがぶつかる。


経済学部男子。

「飲め飲めー!!」

「一気!一気!」

店中が笑い声に包まれる。


「お前らうるせー」

俺も笑う。

「隣の席に怒られるぞー」

「琉生もやれよ!」

「俺はいい、見てる方が面白い」

「ずりぃ!」

また笑いが起きる。


その横。

文学部女子。

「神崎くんって…」

「思ってたより普通なんだね」

「何それ」


「もっとチャラいかと思ってた!」

「俺、真面目だよ?」

笑いながら返す。

「真面目ではないから!」

「でも優しい」

「そう?」

「話しやすい!」

「ありがと。」

自然に笑う。


別の女子。

「神崎くん、モテるでしょ?」

「んー、どうだろ。」

「モテる人の反応じゃん!」

「まぁ…否定はしない」

「うわー!ムカつくー!」

「でもかっこいいから許せる」

また笑いが起きる。


気付けば。

女子も男子も関係なく。

同じ輪で盛り上がっていた。




ー…少しして。


経済学部の友達が聞く。

「そういえばさ。」

「成瀬さんの彼氏ってどんな人なん?」

別の友達。

「え!!俺も気になる!」

「医学部の一個上なんだろ?」

「主席って噂」

「それしか知らん」


文学部の女子たちが笑う。

「それ結構有名だもんね」

「莉桜の高校の先輩なんだよ」


「へぇ!」

「高2からずっと付き合ってるって」

「もう5年くらい?」

「そうそう。」

「莉桜も彼氏も一途だよね」

「そして莉桜のこと大好きなかんじ」

「分かる!」


「へぇー!」

「どんな顔なん?」


女子たちは少し迷う。

「写真あるけど……」

「莉桜に送ってもらったやつ」

「見せても大丈夫かな?」


別の女子が答える。

「顔くらいならいいんじゃない?」

「たしかに!」


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