君の隣で、私になれた


「いるよ」

『そう。電話切ったら写真送って』

「…わかった」

『帰ったらすぐ電話』

「うん」

『じゃあ』

そのまま電話は切れた。



いつものこと。

怒っているわけではない。

なのに、

少しだけ。

少しだけ胸の奥が重くなる。




みんなのところに戻ると、

「彼氏?」

ニヤニヤ笑う紅羽。

「うん」

「一緒に来ればよかったのに」

琉生が言う。


私は少しだけ笑う。

「そういうの苦手な人だから」

「へぇ」

「もったいないなー、こんな楽しいのに!」

笑いながら言う琉生。

悪気なんてない。

ただ思ったことを口に出しただけ。



「たしかに」

私は笑う。

ちゃんといつも通り。



花火が上がる。



紅羽の笑い声。

琉生の楽しそうな声。

新の呆れた声。



楽しいはずなのに。

ほんの少しだけ、

取り残されたような気がした。





ーー帰り道。


スマホを見る。


湊

『写真は?』

『帰ったらすぐ電話』



画面を見つめる。


私はさっき4人で撮った写真を送る。

そして何も考えないようにスマホを閉じた。




今思えば。

この頃から少しずつ…

小さな違和感はあったのかもしれない。


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