君の隣で、私になれた
カチッ。
「できた」
振り向く。
「うん、似合う」
嬉しそうに笑う湊。
私はネックレスへ触れる。
「ありがとう」
「ずっと大事にする!」
「うん」
「湊!写真撮りたい!」
私はスマホを取り出す。
肩を寄せる。
自然に私の肩へ手を添える。
私は湊へ寄る。
「撮るよ」
カシャ。
もう一枚。
カシャ。
写真を見返す。
「ふふ、なんか彼氏っぽい」
「彼氏でしょ?」
「うん!」
桜と2人。
ちゃんと今日という日が残った。
少し歩く。
桜並木の下。
「四月から。」
湊が口を開く。
「念願のCAになるんだな」
「うん!」
「楽しみ?」
「楽しみ……でもちょっと不安」
「大丈夫」
迷いなく言う。
「莉桜なら絶対大丈夫」
その言葉だけで少し安心する。
「湊もあと1年で卒業だね」
「うん、頑張るよ」
「医者になったら一番に報告する」
湊は少し笑う。
「うん、楽しみにしてる!」
風が吹く。
桜が舞う。
「そろそろ謝恩会の時間だな」
「うん……」
少しだけ名残惜しい。
湊が一歩近付く。
「莉桜。」
頬に優しく手を添える。
目が合う。
何も言わず静かに。
唇が触れた。
短いキス。
離れる。
「……っ」
また顔が熱くなる。
「卒業おめでとう」
その一言が。
今日一番、胸に響いた。
舞い落ちる桜を見上げる。
大学生活は終わる。
でも。
隣にいてほしい人は。
これからも変わらない。
そう思いながら。
私はもう一度。
湊の手をそっと握った。