君の隣で、私になれた


「え、まじ?」

「はい、大学の友達」

「うそだろ!?」

「なんで言わねぇんだよ!」

「昨日LINEしてたじゃないですか」

「あ…友達って…まさかあの子?」

「そうです」


「まじか!紹介して!」

「無理っす」

即答。

「なんでだよ!」

「……大事な友達なんで」

「紹介とかは無理っす」

笑いながら。

でもきっぱりと断わる。


「……。」

上司が俺を見る。

「神崎がそんなこと言うの珍し」

「そうですか?」

「他の子は繋いでくれるのに」

苦笑いする。

「これだけは別なんで」

「へぇ……」


疑うような顔。

「てかガチで友達?」

「ガチです」

俺はスマホを開く。


卒業式。

桜並木。

肩を組んで撮った。

あのツーショット。


「ほら」

「……え、ほんとに友達じゃん!」

「しかもめちゃくちゃ仲良いし!」

「まぁ…4年間ずっと一緒なんで」

「羨まし……」

上司が写真を見ながら呟く。


「でも紹介は?」

「しません」

「即答かよ!」

2人で笑う。


しばらくして。

上司と仕事の話になる。

来月の商談。

納車。

数字。

話していると。


通路の向こう。

ドリンクサービスを終えた莉桜が。

少し離れた場所から。

こっちを見ていた。


ふと顔を上げる。

目が合う。


莉桜は一瞬だけふわっと笑った。

仕事の笑顔じゃない。

いつもの4人でいる時の笑顔。


でも次の瞬間には。

また前を向いて。

CAとして歩き出す。




ーーー羽田空港。


無事に到着。

「ありがとうございました」


最後まで莉桜は。

他のお客様と同じように。

俺にも頭を下げた。


仕事だから。

特別扱いなんてしない。


それがなんだか。

少しだけ嬉しかった。



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