君の隣で、私になれた
「約束して」
静かな声。
「今後一切、男と2人で会わない」
「神崎くんだけじゃない。誰とも。」
「偶然でも。」
「ご飯も行かない、電車も別」
「あと。」
「位置情報また共有して」
胸が締め付けられる。
以前。
一度だけ終わったはずの約束。
また、戻ってしまった。
「それから。」
「男がいる飲み会では酒は飲まない」
「1軒目で帰る」
「そして、ちゃんと連絡する」
「誰といるか、何時に終わるか」
「全部。」
「できるよね?」
否定できないくらい低い声。
私は小さく頷いた。
「……うん」
それしか言えなかった。
湊は安心したように笑う。
「ありがとう」
優しく頭を撫でる。
「莉桜は優しいから心配」
その手は最近までと同じ。
温かいはずなのに。
どうしてだろう。
少しだけ苦しかった。
湊が帰ったあと。
静かになった部屋。
ソファへ座ってスマホを開く。
一番上には琉生とのLINE。
ーー琉生。
『今日はありがとう』
その文字を見つめる。
私は悪いことをしたのかな。
友達と偶然会って。
少しだけ話してご飯を食べて……
また胸の奥が少しだけ痛かった。