君の隣で、私になれた


ーーー社会人1年目の残暑。

ーー琉生side.


仕事終わり。



「神崎!今日も行くぞ!」

先輩が肩を組んで笑う。


「今日は看護師!」

「明日は保育士!」

「金曜は受付嬢!」

「お前ほんと謳歌してんなぁ」


「それ全部先輩の誘いじゃないっすか」

そう言うと先輩も周りも笑う。



スーツのまま。

夜の街へ。



「かんぱーい!」


初対面。

女の子たちが笑う。


「神崎くんも営業?」

「うん」

「絶対モテるでしょ!」

「えー、どうだろ?」

適当に笑う。


場を盛り上げる。

連絡先を交換する。


「このあとどうする?」

「2人で飲み直そうよ」

「いいよ」



ーーホテル。


「神崎くんって優しいよね」

「顔もかっこいいし絶対モテる」

「しかも営業成績もすごいんでしょ?」

「完璧すぎる」


「めっちゃ褒めてくれるじゃん」

「ありがとう」

そう言って笑う。

張り付けた表向きだけの笑顔。

そこに何の気持ちもない。



夜中。

「また会いたい」

「そうだね」

曖昧に答える。


先に部屋を出る。

名前すらももう覚えていなかった。



ーー翌日。


また合コン。

向かう途中で先輩が話しかけてくる。

「神崎!昨日の子どうだった?」

「あー…おかげさまで今日眠いです」

「でた!今日やめとく?」

「行きます」

食い気味で答えると先輩が笑う。

「さすが!そうこないと!」

「まぁ遊び盛りなんで!」

「今日も持ち帰り?」

「そうっすねー」

俺はまた曖昧に笑う。



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