君の隣で、私になれた


「守ってる?」

「だったらなんで2人?」

「……。」

「俺が迎え来るまで」

「1人で待つくらいも出来ない?」


「違う。紅羽たちが先に──」

「また言い訳か。」

「最近ずっとお前は言い訳ばっかり」

「約束すらも守れない」

声が少しずつ大きくなる。


通行人が振り返る。

莉桜は何も言い返さない。

ただ小さく俯くだけ。


「じゃあ。」

「俺のこと本当に好き?」

「……っ。」

莉桜は萎縮してしまって返せない。


「答えろよ、好きなんだろ?」

「だったらなんで俺の気持ち考えない」

「お前のせいで俺ばっかり我慢してる」


「湊……、違う。」

「違わない!」

「俺は全部、お前のために言ってる」

「なのにお前は──」



「湊さん。」


気付けば

口が動いていた。


「今日は本当にたまたまです」

「さっきまで紅羽たちも一緒でした」

「……」

湊さんが初めて俺を見る。


「……お前さ。」

「よくそんなこと言えるな」


俺は少し驚く。


初めてだった。

この人が俺にこんな目を向けたのは。


大学の頃も。

社会人になってからも。

表面だけは崩さなかった。


でも。

もう隠す気もない。


そこまで追い詰められてるんだ。


それとも。

俺がそこまで嫌われてるだけなのか。


分からない。


でもさすがに。

この状況は見てられなかった。




「ほんとに友達?」

「女全員に同じことしてる奴が」

「友達だからって」

「それを信じろって?」

「……。」

「不特定多数の女と派手に遊んでて」

「それで莉桜だけは友達?」

「そんな話、誰が信じる?」


「……。」


俺のことなら。

何を言われてもいい。


でも。

目の前の莉桜は。

今にも泣きそうな表情をしてる。


「俺のことは…」

「どう言われても構いません。」

少しだけ間を置く。

「でも。」

「もう、そのくらいで……」

「莉桜が苦しそうです」


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