君の隣で、私になれた

第53話「自分らしくいられる」



ーーーあれから3ヶ月弱。


七月。

仕事終わり。

蒸し暑い夜。


居酒屋の暖簾をくぐる。



「お疲れー!」

紅羽が先に手を振る。

「お疲れ」

新も続く。



少し遅れて。

「ごめん、お待たせ!」

莉桜も来る。


笑っていた。

最近、笑顔が増えてきた。


あの日以来しばらく。

笑っていても。

どこか無理をしているように見えた。


でも今日は違う。


紅羽にツッコんで。

新に乗っかって。

くだらないことで笑ってる。


まだ全部じゃない。


でも少しずつ。

莉桜は前に進んでいる。


それが嬉しかった。



乾杯。


「社会人の初飲みから一周年だね」

紅羽が笑う。


「もう一年かぁ」

「あっという間だったな」


それから自然と仕事の話になる。


「そういえば。」

「俺、新人賞取った!」

少し得意げに笑う。


「はいはい」

新が適当に流してくる。


「すごいすごい」

「おい新、ちゃんと聞け!」

「1年目で新人賞だぞ?」

「もっと褒めろ」


「いやでもさすがだね〜!!すご!」

紅羽が拍手して笑う。

「すごい!おめでとう!」

莉桜も拍手に乗っかって笑う。


「今店舗2位であと1人抜いたら1位」

「え。入社1年で?」

紅羽が固まる。

「うん、下半期だけならもう1位」

「えぐ。」

新が呟く。


俺はまた得意げに笑う。

「俺天才かも」

「調子乗んな」

新の即ツッコミ。

「いや事実じゃん?」

「そこは認めろよ!」


「認める認める!」

「だから今日は琉生のおごりね!」

調子良いことを言ってくる紅羽。

「なんでだよ!」

みんなで爆笑する。


「……でもすごいね、ほんとに」

莉桜が小さく呟く。

その言葉に俺は少し照れる。

「まぁ…頑張った」


この一言だけ。



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