君の隣で、私になれた
第55話「私は好き」
ーーー海。
外はもう暗くなってきてる。
海へ到着。
「……え!海!?」
「びっくりした?」
「夜に海なんて思わないじゃん!」
莉桜はキラキラした目で海を見る。
その様子を見て俺も笑う。
車を降りる。
「靴どうする?」
「濡れるし砂も入るよね?」
「裸足?」
「そうしよ!」
2人並んで。
片手には靴を持って。
裸足で夜の砂浜を歩く。
「冷たっ!」
「ひんやりしてて気持ちいい」
波打ち際。
笑いながら歩く。
何を話すでもなくただ歩く。
それだけなのに。
不思議と心地いい。
その時。
「きゃっ。」
莉桜の足が砂に取られる。
反射で手を掴んだ。
「あぶね」
「ありがと」
莉桜はほっとしたように笑う。
何事もなかったみたいに。
そのまま歩き出そうとする。
……あ。
まだ手を繋いだまま。
俺は慌てて離す。
「あ、ごめん」
「ん?なにが?」
「いや、なんでもない」
莉桜は本当に。
何も気付いてない。
何も意識してない。
昔は。
その無防備さが嬉しかった。
でも今は。
少しだけ困る。
この距離を。
俺だけが意識してる。