君の隣で、私になれた
ーーー数日後。
約束の日。
少しだけ鏡を見る。
「よし。」
今日は初めての合コン。
数週間前……紅羽に言った。
『考えとく。』
あの日は。
本当に考えるだけのつもりだった。
でも。
今なら少しだけ。
前を向ける気がした。
「おまたせー!」
紅羽が手を振る。
「今日は大手メーカー勤務の人たち!」
「同い年くらい?」
「24、25歳!楽しも!」
「うん。」
ーー居酒屋。
四対四。
席につく。
「初めまして」
「メーカー営業してます!」
順番に自己紹介。
「成瀬莉桜です」
「CAしてます」
その瞬間。
「え、CA!?」
「すご!」
「かっこいい!」
「英語とか話せるの?」
一気に質問が飛んでくる。
その中で。
向かいに座っていた男性が笑った。
「ほんとに彼氏いないの?」
思わず笑う。
「いないです」
「え、嘘でしょ。」
周りも頷く。
「いや、絶対いると思った!」
「みんなそう思ってた!」
笑いが起きる。
その男性が手を差し出した。
「俺、佐伯陵!」
「メーカー営業。よろしく。」
握手を返す。
「よろしくお願いします、佐伯さん」
「陵でいいよ、歳そんな変わらないし」
「じゃあ……。」
少し照れながら。
「陵さん?」
男性は笑う。
「いや、さんは固い」
「……陵くん?」
「うん。」
少しだけ距離が縮まる。
少し時間が経った頃。
みんなで話しているのに。
気付けば陵くんがよく話しかけてくる。
「CAさんってやっぱ飛行機好き?」
「好き!乗り物が好き!」
「じゃあ車とかも好き?」
「好き!」
「へぇー、それは意外!」
「みんな言う!」
話しやすい。
無理に距離を縮めようとしない。
自然に笑える。