君の隣で、私になれた
缶を片付けてると。
しばらくして新が戻ってきた。
「寝た、あっという間に」
「だろうな」
リビングには俺と新だけ。
さっきまで賑やかだった部屋が。
急に静かになった。
新が口を開く。
「琉生」
「ん?」
「お前さ……」
少し間。
「やっぱ莉桜のこと好きだろ」
「友達としてじゃなくて女として」
静かな部屋。
テレビの音だけが流れる。
俺は少しだけ笑う。
「……うん、好き」
もう隠さない。
また少し沈黙。
新は缶をゴミ袋へ入れる。
「……いつものじゃないよな?」
「ちゃんと本気?」
「本気」
その声だけは。
冗談も笑いもなかった。
真っ直ぐに答える。
新は少しだけ黙る。
それから小さく頷いた。
「……それならいい」
「え?」
「中途半端なら止めてた」
「でも、その顔なら……」
「俺からは何も言うことない」
新は少し笑う。
俺も少し笑った。
ーーー翌朝。
ーー莉桜side.
「……ん。」
ゆっくり目を開ける。
見慣れない天井。
「あ……。」
新の家に泊まったんだった。
頭が少し重い。
「いたた……」
少しだけ二日酔い。
でも昨日。
途中から記憶が曖昧。
「えっと……」
ビール飲んで、焼肉食べて。
ウイスキー……。
そこまでは覚えてる。
そのあと。
「……。」
何も思い出せない。
何か変なこと言ってないよね。
何もしてないよね。
不安になりながら部屋を出る。
リビングから笑い声が聞こえた。
「おはよ…」
「おはよう」
新と琉生。
2人ともいつも通りだった。
その様子を見て少しだけ安心する。
……よかった。
何もなかったんだ。
そう思った。
琉生にもたれたことも。
「そんな彼氏ほしいなぁ」
そう呟いたことも。
パーカーを脱ごうとしたことも。
それを止められたことも。
私もは何一つ覚えていなかった。