君の隣で、私になれた
莉桜の瞳から。
涙が一筋、静かに流れた。
何秒だったんだろう。
長く感じた。
やっと莉桜が笑う。
「ずるい……。」
小さく笑う。
「そんなこと言われたら」
「好きになっちゃうじゃん……。」
その言葉で。
少しだけ肩の力が抜けた。
自然と笑ってしまう。
「もう好きだろ」
そう言うと莉桜が少しだけ睨む。
「うるさい」
笑いながら涙を拭く。
少しだけ間。
ゆっくり俺の目を見る。
「……うん。」
また涙が零れる。
「好きだよ」
その一言だけで。
胸がいっぱいになる。
何も言えない。
ただ。
手をゆっくり広げる。
「おいで」
莉桜は照れたように笑う。
一歩。
また一歩。
ゆっくり近付いてくる。
そして。
そっと胸へ寄り添った。
もう迷わなかった。
莉桜をぎゅっと抱きしめる。
腕の中は。
驚くほど小さくて。
あたたかかった。
莉桜は照れて下を向いたまま。
小さく。
本当に小さく。
「……お願いします」
「うん。」
それだけ返す。
抱きしめる力が。
少しだけ強くなった。
どれだけ時間が経ったのか。
誰も分からなかった。
ただ。
波の音だけが。
静かに2人を包んでいた。
好きな人が隣で笑ってる。
たったそれだけで、こんなにも。
世界が違って見えるなんて。
知らなかった。
この先もずっと。
隣で笑っていてほしい。
そして。
その笑顔を。
俺が守っていきたい。