君の隣で、私になれた


「ない」

即答だった。

「早すぎ」

「食い気味だった」

俺は気にせずに続ける。

「紅羽は友達」

「でも仲良いじゃん」


確かに女子の中だと仲は良い。

でも紅羽はそういうやつじゃない。


俺は普通に答える。

「話してて楽だし」

「気遣わないし」

「あいつは面白い」


「好きじゃん」

「違う」

「どこがだよ」

また笑いが起こる。


「紅羽は男友達みたいなもん」


「城野さん泣くぞ」

「泣かないだろ」



「じゃあ成瀬さん」

今度は莉桜の名前。

こいつらそんなに結びつけたいのか。



「成瀬さん可愛いじゃん」

「めちゃくちゃ可愛い」

「彼氏いるけどそれは一旦なしで」

「どう?」


少しだけ考えてみる。

「莉桜は」

少しの間。

「いいやつ」

「…え、おわり?」

「おわり」

「語彙力」

爆笑する男友達たち。


でも。

また考えて付け足す。

「あいつはちゃんとしてる」

「ちゃんと?」


「人の話聞くし、気配りもできる」

「約束も守る」


「真面目なんだな」

「真面目だから信頼できる」

男友達が顔を見合わせる。

「お前それ結構褒めてるぞ」

「事実言っただけ」

「まぁそうだろうな」

納得したように笑う。



その時。

スマホが震える。


昨日の先輩からのLINE。

『おはよう』

『昨日楽しかった!また飲もうね!』

既読。


「返事しろよ」

友達から突っ込まれる。

「後で」

そう言ってスマホをしまう。


「城野さんならすぐ返す?」

「返さない」

「成瀬さんは?」

「内容による」

「…差がわからん」

呆れながら頭を抱える。



恋愛より友達。


それが今の正直な気持ち。








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