君の隣で、私になれた


ーー海の家。


注文していた料理がテーブルに並ぶ。


焼きそば。

カレー。

ラーメン。

かき氷。


「食べ過ぎじゃない?」

私は思わず突っ込む。

「海だからセーフでしょ!」

紅羽が即答する。

海だからの意味は分からない。


「そういえばさ」

琉生が新の方を見て言う。

「新、例の先輩どうなった?」

新が箸を止める。

「それ!私も聞きたい!」

紅羽が乗り出してくる。


「別に何もない」

つまらなそうな顔をする琉生と紅羽。

「何もじゃないでしょ!」

「飲み行ったんだろ?」

「行った」

「ふたりで!?」

「そう」

「おぉー」

紅羽がニヤニヤ笑う。


「で?何かあった?」

「何もない」

表情が一切変わらない新。

「嘘だ」

「絶対ある」

怪しむ琉生と紅羽。

「ない」


「先輩、美人なんでしょ?」

「普通に綺麗」

「ほら!しかも優しいんでしょ?」

「優しい」

「ほらぁ!!」

紅羽の目がキラキラと輝く。

「何が」

新は呆れて首を傾げる。


「付き合えばいいじゃん!」

紅羽は引かない。

「好きじゃないし」

一瞬静かになる。


「え?なんで?」

紅羽は固まる。

「何がダメなの?」

「別にダメじゃない」

「じゃあ付き合えよ」

琉生が言う。


「だから好きじゃない」

新は本気で言ってる。

紅羽が頭を抱える。

「分かんない」

「私も」

紅羽と同意見。


「新って彼女ほしいって思うことないの?」

「ない」

即答。

「なんで!?」

「今困ってないから」

「それだけ?」

「それだけ」

紅羽がまた頭を抱える。

「分かんない」


< 71 / 308 >

この作品をシェア

pagetop