君の隣で、私になれた
「莉桜は?」
3人の視線が私に集まる。
「CA」
「やっぱり」
得意げな顔で笑う紅羽。
「でも大変そう、英語とか面接とか」
「英語は問題ないだろ」
新が言う。
「面接?緊張するの?」
琉生が聞く。
「する」
「嘘つけ」
「するって」
「全然見えない」
琉生が呑気に笑う。
私が苦笑すると。
紅羽が隣から顔を至近距離に寄せてくる。
「この顔で落ちることある?」
「やめて」
「いやほんとに絶対受かるじゃん」
「そういう問題じゃないから」
紅羽の額を軽く押す。
「落ちたらどうしようって思う」
少しだけ本音。
すると。
「みんな思ってるだろ」
珍しく新が言う。
「え?」
「俺も思う」
静かになる。
「私もめっちゃ思う」
紅羽も続く。
「俺も分かる」
琉生まで続く。
意外だった。
「なんだ」
紅羽が笑う。
「みんな不安なんじゃん」
「当たり前だろ」
新。
「俺らまだ大学生だぞ」
琉生。
その言葉に。
なんだか少し安心した。
将来の夢は違う。
行きたい場所も違う。
でも。
不安なのはみんな同じだった。
「とりあえず」
琉生がジョッキを持ち上げる。
「全員内定取ろうぜ」
「雑」
新が突っ込む。
「でもそれでいい」
紅羽が笑う。
私も笑う。
四人でグラスを合わせる。
大学3年。
夢より少しだけ現実が近づいてきた春だった。