君の隣で、私になれた

第23話「俺の莉桜だから」



ーーバイト後。


バイトおわるまで待っててくれた湊。

一緒にタクシーで湊の家へ帰宅。

タクシーはとくに会話なく静かだった。



部屋に入る。


玄関。

靴を脱ぐ。

湊は何も言わない。


そのままリビングへ向かった。

私は後ろをついていく。


まだ静かだった。

静かすぎた。

そして。



「莉桜」


ソファに座る湊。


照明もつけない。

暗くて静かな部屋。


「おいで」


湊が言う。

私は黙って近付く。


腰を引かれる。

そのまま膝の上。

ミニスカートの裾が少しだけ上がる。


向かい合わせ。

逃げ場がない。


「俺が何話そうとしてるか分かるよね」

首筋に冷たい指が触れる。

私は小さく頷く。


「言ってみて」

「……琉生のこと?」

「神崎と随分仲良さそうだったな」

「仲良さそうって…」

「違うの?」

静かな声。


でも。

確実に怒ってる。


「あの距離なに」

腰を抱く腕に力が入る。


「仕事中だったし」

「そういう話してない」

即座に切られる。

「神崎に悪気ないのは分かる」

「……」


「けどお前は?」

湊の手が露わになった太ももを撫でる。

動作は優しい。

なのになぜか怖い。


「なんであいつだけ許した?」

「友達だから」

「友達?」

湊が繰り返す。

無表情。


「それ本気で言ってる?」

「言ってる」

「へぇ」

短く笑う。


「じゃあ友達だからって」

「男の膝に座る?」

返せない。

「座らないだろ?」

「それと同じ」


そして。

顎を持ち上げられる。

「そろそろ理解しろ」


笑ってない。

静かな命令。


「湊」

「なに」

「違うよ」

「何が」

即答。


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