あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
『エルニーナ嬢が来てくれたおかげで、我が騎士団は早々にきちんと働けるようになった。いなくなるのが残念だ』とティベルだけではなく、騎士達もエルニーナが去るのを惜しんでくれた。
 引き継ぎ中に王宮のあちこちで聞いた話では、エルニーナの仕事はすべてステファノがやったことになっていたようだ。
 まさか、部下の成果をかすめていくような人なんて想像もしていなかった。
 なんて考えながら旅をすること三週間。ようやく辺境伯の屋敷がある街に到着した。

(貸し切り馬車ならもうちょっと早かったんだろうけれど……)

 馬車を一台貸し切ればまっすぐこちらに来られたが、そんな予算はなく、乗合馬車を使って辺境伯領に来た。なにしろ、王宮側はぎりぎりの旅費しか出してくれなかったので。
 そんな事情もあって、貸し切り馬車なら十日ですむところを倍以上の日数をかけて旅をしてきたわけである。
 辺境伯の屋敷は、堅牢な城壁に囲まれたまるで砦のような建物だった。王宮のような繊細さ、華やかさはまるで感じられない。
 だが、魔物が出没する地域の最前線だ。
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