氷の旦那さまに愛されて、15歳の私ははじめての恋を知る。
「小雪ーーーーっ!!」
静かなお屋敷に、下品な金切り声が響き渡った。
ビクッと肩を揺らした私の視線の先には、怒りで顔を真っ赤にした深雪お姉さまと、おろおろと後ろについてくるお父様の姿があった。
「お、お姉さま……? お、お父様、どうしてここに……」
「どうしてじゃないわよ! あんた、よくもそんな格好をして私の前に現れたわね!」
深雪お姉さまは、私が着ている最高級のシルクのドレスと、首元で輝く綺麗な宝石を見て、嫉妬で目を剥いた。
「そんな綺麗な服も宝石も、あんたみたいな役立たずには豚に真珠よ! さあ、今すぐそれを脱ぎなさい! そして私と服を交換して、あんたは実家の物置小屋に戻るのよ!」
お姉さまがヒステリックに私に掴みかかろうと手を伸ばす。
実家での恐怖が頭をよぎり、私は思わずギュッと目を瞑って身を縮こまらせた。
「いやっ……!」
――しかし、衝撃は来なかった。
「……誰の許可を得て、俺の妻に気安く触れようとしている」
地を這うような、低く冷酷な声。
恐る恐る目を開けると、そこには私の前に立ちはだかり、深雪お姉さまの手首をギリギリと掴んで止めている清正様の背中があった。
その全身からは、触れただけで凍りつきそうなほどの恐ろしい怒りのオーラが放たれている。
「つ、冷てっ……! あ、あなたが、皇清正様……?」
お姉さまは手首の痛みに顔をしかめながらも、初めて間近で見る清正様の息をのむような美しさに、一瞬で目を奪われ、頬を染めた。
「初めまして、清正様……! 私は千歳家の長女、深雪と申します。ご覧の通り、そこの役立たずの妹とは違って、私は何でもできる完璧な女ですわ! 皇家の妻にふさわしいのは、小雪なんかじゃなくて、この私です! さあ、今すぐそんな出来損ないは捨てて、私を――」
「黙れ、身の程知らずが」
清正様は、ゴミを見るような冷たい目で深雪お姉さまを一瞥すると、その手首を汚いもののように振り払った。
「私の妻は小雪だけだ。お前のような性根の腐った女など、視界に入るだけで不愉快極まりない」
「な、何仰っているの!? 私の方が綺麗で、優秀で……!」
「お前が優秀? 笑わせるな。3年前の冬、俺が路地裏で倒れていた時、お前は俺を『汚い浮浪者』と罵って足蹴にしただろう。俺はあの時のこと、すべて覚えているぞ」
「え……っ!?」
深雪お姉さまの顔から、一瞬で血の気が引いた。
「俺を救ってくれたのは、自分の防寒着すらまともに与えられていなかった、幼い小雪だけだ。お前たちが小雪を虐げ、家から追い出してくれたおかげで、俺は最愛の恩人を妻に迎えることができた。その点だけは感謝してやる」
清正様はそう言うと、後ろにいた私をそっと引き寄せ、壊れ物を扱うように優しく抱きしめた。
「だが、俺の宝物にこれ以上傷をつけようとするならば……千歳家など、明日にはこの世から消し去ってやる。今すぐ俺の屋敷から失せろ」
清正様の絶対的な拒絶と、あまりの恐怖に、深雪お姉さまとお父様は腰を抜かして床にへたり込んだ。
「そんな……嘘よ……私が、小雪に負けるなんて……!」とぶつぶつ呟くお姉さまは、お屋敷の従者たちによって、文字通り引きずり出されていったのだった。
静かなお屋敷に、下品な金切り声が響き渡った。
ビクッと肩を揺らした私の視線の先には、怒りで顔を真っ赤にした深雪お姉さまと、おろおろと後ろについてくるお父様の姿があった。
「お、お姉さま……? お、お父様、どうしてここに……」
「どうしてじゃないわよ! あんた、よくもそんな格好をして私の前に現れたわね!」
深雪お姉さまは、私が着ている最高級のシルクのドレスと、首元で輝く綺麗な宝石を見て、嫉妬で目を剥いた。
「そんな綺麗な服も宝石も、あんたみたいな役立たずには豚に真珠よ! さあ、今すぐそれを脱ぎなさい! そして私と服を交換して、あんたは実家の物置小屋に戻るのよ!」
お姉さまがヒステリックに私に掴みかかろうと手を伸ばす。
実家での恐怖が頭をよぎり、私は思わずギュッと目を瞑って身を縮こまらせた。
「いやっ……!」
――しかし、衝撃は来なかった。
「……誰の許可を得て、俺の妻に気安く触れようとしている」
地を這うような、低く冷酷な声。
恐る恐る目を開けると、そこには私の前に立ちはだかり、深雪お姉さまの手首をギリギリと掴んで止めている清正様の背中があった。
その全身からは、触れただけで凍りつきそうなほどの恐ろしい怒りのオーラが放たれている。
「つ、冷てっ……! あ、あなたが、皇清正様……?」
お姉さまは手首の痛みに顔をしかめながらも、初めて間近で見る清正様の息をのむような美しさに、一瞬で目を奪われ、頬を染めた。
「初めまして、清正様……! 私は千歳家の長女、深雪と申します。ご覧の通り、そこの役立たずの妹とは違って、私は何でもできる完璧な女ですわ! 皇家の妻にふさわしいのは、小雪なんかじゃなくて、この私です! さあ、今すぐそんな出来損ないは捨てて、私を――」
「黙れ、身の程知らずが」
清正様は、ゴミを見るような冷たい目で深雪お姉さまを一瞥すると、その手首を汚いもののように振り払った。
「私の妻は小雪だけだ。お前のような性根の腐った女など、視界に入るだけで不愉快極まりない」
「な、何仰っているの!? 私の方が綺麗で、優秀で……!」
「お前が優秀? 笑わせるな。3年前の冬、俺が路地裏で倒れていた時、お前は俺を『汚い浮浪者』と罵って足蹴にしただろう。俺はあの時のこと、すべて覚えているぞ」
「え……っ!?」
深雪お姉さまの顔から、一瞬で血の気が引いた。
「俺を救ってくれたのは、自分の防寒着すらまともに与えられていなかった、幼い小雪だけだ。お前たちが小雪を虐げ、家から追い出してくれたおかげで、俺は最愛の恩人を妻に迎えることができた。その点だけは感謝してやる」
清正様はそう言うと、後ろにいた私をそっと引き寄せ、壊れ物を扱うように優しく抱きしめた。
「だが、俺の宝物にこれ以上傷をつけようとするならば……千歳家など、明日にはこの世から消し去ってやる。今すぐ俺の屋敷から失せろ」
清正様の絶対的な拒絶と、あまりの恐怖に、深雪お姉さまとお父様は腰を抜かして床にへたり込んだ。
「そんな……嘘よ……私が、小雪に負けるなんて……!」とぶつぶつ呟くお姉さまは、お屋敷の従者たちによって、文字通り引きずり出されていったのだった。