Hidden love.
十三時。昼食を済ませ、いつもなら陽だまりの当たるあたたかいオフィスでうとうとと微睡んでいる午後を過ごしているはずだった。時折あくびを噛み殺しながら、コピー機で紙を刷る音や、電話の鳴る音、人の話し声、心地のいいタイピング音、紙にボールペンで何かを記入している音。すべての環境音に癒されながら、眠らないようになんとか喝を入れて…。
今日の午後だけは酷くぴりぴりしていた。会議室の前、深呼吸をして、それからノックをする。中から「どうぞ」と声が聞こえてから「失礼します」と放ち、ドアノブを捻る。
中には既に三人が揃っていた。航平の冷ややかな目、人事部長と大樹の硬い表情。自分一人でも十分ひりついた空気になっていると思っていたけれど、レベルが違った。中に足を一歩踏み入れるだけで、全身が緊張するのを感じる。
何とか自分を奮い立たせ、私は空いている航平の隣に間を開け座った。それから「後から食い違いがあるといけないので、録音失礼いたします」と告げ、事前に用意しておいた録音レコーダーをテーブルに置くと、航平は分かりやすく顔を顰めた。
「今日は、軽くしか話を聞いていないんだけど、双方の話を聞いてもいい? 婚約トラブル、とだけ聞いていたんだけど、認識はあってるかな?」
大樹の落ち着いた声が場を制する。航平はそれに対して少し笑った。
「こんなことで巻き込んでしまって申し訳ありません。よくある、元恋人同士のもつれです。社会人にもなって、上層部を巻き込んでするような話ではないですよ。なあ?」
その「なあ?」は高圧的に私に問いかけられている。私は冷めた目で航平の方を見る。
今日の午後だけは酷くぴりぴりしていた。会議室の前、深呼吸をして、それからノックをする。中から「どうぞ」と声が聞こえてから「失礼します」と放ち、ドアノブを捻る。
中には既に三人が揃っていた。航平の冷ややかな目、人事部長と大樹の硬い表情。自分一人でも十分ひりついた空気になっていると思っていたけれど、レベルが違った。中に足を一歩踏み入れるだけで、全身が緊張するのを感じる。
何とか自分を奮い立たせ、私は空いている航平の隣に間を開け座った。それから「後から食い違いがあるといけないので、録音失礼いたします」と告げ、事前に用意しておいた録音レコーダーをテーブルに置くと、航平は分かりやすく顔を顰めた。
「今日は、軽くしか話を聞いていないんだけど、双方の話を聞いてもいい? 婚約トラブル、とだけ聞いていたんだけど、認識はあってるかな?」
大樹の落ち着いた声が場を制する。航平はそれに対して少し笑った。
「こんなことで巻き込んでしまって申し訳ありません。よくある、元恋人同士のもつれです。社会人にもなって、上層部を巻き込んでするような話ではないですよ。なあ?」
その「なあ?」は高圧的に私に問いかけられている。私は冷めた目で航平の方を見る。