Hidden love.
「そうですね。これがただの婚約破棄なら、騒いでいないです。だけど、話は少し大事になりそうなので」
「何が言いたいんだよ。人事部長と社長の時間を奪ってまでする話か? 文句があるなら俺に言えばいい」
「結論、あんたと話すことは、もうないの。こっちの要求を伝えるから、黙って聞いて、よく考えたらいい」
私の言葉に航平はわかりやすく顔を顰めた。
これは話し合いなんかじゃない。交渉でもない。私はこの男に痛い目を合わせられたらいい。人事部長に不和を残せるなら、意味のある場に十分になる。すべてがうまくいかなかったとしても、この男に簡単に出世なんてさせない。
専務の娘と結婚したくらいで将来が安泰になると思っているなら、大間違いだと、この男の考え方や生き方を真っ向から否定してやりたい。
「社長、人事部長。お忙しい中、お時間を作って下さり、本当にありがとうございます。お話は軽くさせていただいておりましたが、澤山くんを不当な婚約破棄の件で、裁判を起こすことを考えております」
「は…?」
航平は裁判までは予想外だったのか、少し焦ったような声が聞こえてくる。私は努めて冷静に、感情を顕《あらわ》にしないようにし、話を続けた。
ただ淡々と義務的に。弱さを見せては入り込まれるから。
「不当な婚約破棄、とは?」
人事部長の言葉に少し頷くと、自分のスマートフォンを取り出す。
「これは、私と彼の会話です。聞いていただくのが早いかと」
そう言って、桐生さんの前でも流した音声をもう一度、この場で最大音量で流した。相も変わらずノイズの音はかなり多めに入っているが、私と航平の声ははっきり聞こえる。
そんなこと言っていない、なんて絶対に言い逃れさせない。
たった一分程の録音だったが、航平が私と婚約しながら別の女性と関係を持っていたことを示すには十分だった。
「何が言いたいんだよ。人事部長と社長の時間を奪ってまでする話か? 文句があるなら俺に言えばいい」
「結論、あんたと話すことは、もうないの。こっちの要求を伝えるから、黙って聞いて、よく考えたらいい」
私の言葉に航平はわかりやすく顔を顰めた。
これは話し合いなんかじゃない。交渉でもない。私はこの男に痛い目を合わせられたらいい。人事部長に不和を残せるなら、意味のある場に十分になる。すべてがうまくいかなかったとしても、この男に簡単に出世なんてさせない。
専務の娘と結婚したくらいで将来が安泰になると思っているなら、大間違いだと、この男の考え方や生き方を真っ向から否定してやりたい。
「社長、人事部長。お忙しい中、お時間を作って下さり、本当にありがとうございます。お話は軽くさせていただいておりましたが、澤山くんを不当な婚約破棄の件で、裁判を起こすことを考えております」
「は…?」
航平は裁判までは予想外だったのか、少し焦ったような声が聞こえてくる。私は努めて冷静に、感情を顕《あらわ》にしないようにし、話を続けた。
ただ淡々と義務的に。弱さを見せては入り込まれるから。
「不当な婚約破棄、とは?」
人事部長の言葉に少し頷くと、自分のスマートフォンを取り出す。
「これは、私と彼の会話です。聞いていただくのが早いかと」
そう言って、桐生さんの前でも流した音声をもう一度、この場で最大音量で流した。相も変わらずノイズの音はかなり多めに入っているが、私と航平の声ははっきり聞こえる。
そんなこと言っていない、なんて絶対に言い逃れさせない。
たった一分程の録音だったが、航平が私と婚約しながら別の女性と関係を持っていたことを示すには十分だった。