Hidden love.
「お前がしたことだろ。男なら自分で道を選べ。その通りにさせてやる」


 大樹のいつもの穏やかな声はなかった。低く、相手を少し責めるようなそんな響きすらある。

 航平は窮地に立たされたような表情で、俯き、拳を握りしめている。


「……異動届を出します」

「懸命な判断だな。まず、椿には慰謝料を払うこと。それと、齋藤さん、すぐに辞令をだしてください」

「承知いたしました」

「ここでの会話は、絶対に外部には漏らさないこと。以上」


 大樹はそう言い放つと、会議室を足早に去っていった。私も俯く航平を置いて、会議室を出た。

 何だか、思っていたのと違った。こんなにもすっきりしないなんて……。

 もっと開放感や、やってやったと復讐の後の達成感があったと思っていた。それなのに、何も感じない。残ったのは虚しさだけ。
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