Hidden love.
「あなた、人の頭撫でるの好きね」

「いい匂いするよな。後、撫で心地がいい」


 そう言いながら顔を髪に埋めると鼻をすんすんと鳴らし、嗅いでいる。こうしていると犬みたいだなと思わなくもない。


「話戻すけど、…大樹の気持ちは、凄く嬉しい。でも、今回、人事部長を巻き込んで環境整備のために異動届を出せって、航平に言ったでしょう? それなのにすぐ辞めるのは、それはそれで筋が通っていない気がするの」

「まあ、確かに。それは思うけど、周りの噂話とかそういうのもあるし、今回は清花が悪い訳でもないんだから、そこまで責任を感じる必要も無い気がするけど」


 大樹は全ての事情を知っているから、そう言ってくれるのも分かっている。周りはそうは見てくれないし、人事部長からすれば、あんな条件を出しておいて、結局辞めるのかと、結局迷惑を掛けただけに過ぎない。

 それに、何らかの落ち度があるまま物事を進めるのも嫌で、ほんの少しでも、あの時こうしていれば、なんて後悔を残したまま、次に進みたくもない。


「もう少し頑張りたい。きっと私が頑張っているうちに、噂も落ち着くと思うし。人の噂はなんとやらって言うじゃない?」


 そんな私の言動に大樹は軽く笑みを零していたが、心配の色はまだ消えてもいなかった。
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