レディ・マーメイド
仕事に集中していたせいか、次に時計を見た時には昼の12時を過ぎていた。

(樹莉はどうしているだろうか)

電話に手を伸ばし、神谷の仕事用のスマートフォンにかけてみる。

「はい、神谷でございます」
「俺だ。樹莉はどうしている?」
「これから昼食を召し上がるところです。亜紋さまのお食事はいかがなさいますか? よろしければご一緒にご用意いたしますが」

訊かれて少し考える。
普段は昼食は適当に済ませるが、今は樹莉と一緒に食べたいと思えた。

「ではそうする」
「かしこまりました。樹莉さまをお連れして、ダイニングルームにご用意いたしますね」
「わかった。すぐに行く」

電話を切ると立ち上がり、ハンガーラックに掛けてあったジャケットに腕を通す。

ネクタイも締めてから、ダイニングルームに続くドアに向かった。
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