レディ・マーメイド
車でロイヤルクレストに戻ると、樹莉は改めて亜紋へのクリスマスプレゼントを差し出した。

それはラピスラズリのネクタイピンとカフス。

吸い込まれるような深いブルーの色合いが、亜紋によく似合っていた。

「ありがとう、樹莉。大切に使わせてもらうよ」
「はい」

肩を抱き寄せて樹莉に優しくキスをしてから、亜紋も樹莉へのプレゼントをポケットから取り出す。

「これを、樹莉に」
「え? そんな、もうこんなにすてきな指輪をもらったのに?」
「それは婚約指輪だ。これは初めての樹莉へのクリスマスプレゼント。受け取ってほしい」

その言葉だけで、樹莉は胸がいっぱいになった。

おずおずと手を伸ばして受け取ると、リボンを解く。

細長いビロードのケースを開けると、中にはエメラルドのネックレスが輝いていた。

「きれい……」
「樹莉、着けてみて」
「はい」

そっと手に取って着けると、鎖骨の中央にしずく型のエメラルドが美しく映える。

「よく似合ってる、樹莉」
「ありがとうございます、亜紋さん。とっても嬉しい。エメラルドは私の誕生石なの」
「そうだったのか。これからも少しずつ増やしていこう。エメラルドのピアスや腕輪も」
「ふふふ、ブレスレットね」
「ああ、そうか。ブレスレットか。俺、ジュエリーショップも行ったことがなかったから、詳しくなくて」

照れ隠しのようにフイとそっぽを向く亜紋が愛おしくなり、樹莉はギュッと正面から抱きついた。

「亜紋さん、大好き」
「樹莉……」

驚いたように仰け反ってから、亜紋はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

「そんなに可愛く甘えるなんて、覚悟はできてるんだな?」
「え、な、なんの?」
「今からわからせてやる。嫌ってほどな」
「え、あ、あの?」

亜紋は樹莉を炊き上げると、ベッドに運んで上から組み敷く。

グッと顔を寄せられて、後ろに下がることもできない樹莉は息を呑んだ。

「樹莉、愛してる」

それは始まりの合図。

言葉もなく、ただ想いのままに互いを求め合い、抱きしめ合った。

樹莉の身体を覆うものはなにもなく、真っ白な素肌にただ左手の指輪と胸元のネックレスだけが美しく輝く。

まるでそこに、奪いようのない亜紋の愛が息づいているかのように。
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