失恋した夜、三白眼のエリート海上自衛官に恋しました

1話

「最悪……」
 泣くつもりなんてなかった。
 仕事中は目の前の業務に集中すれば良かったから平気だった。
 患者さんの前ではいつも通り笑えたし、同僚とも普通に話せた。
 でも……。
 夕方から深夜までが勤務である準夜勤を終えて、病院を出て車に乗った瞬間、ハンドルに額を打ちつけた。

——別れよう。もうこれ以上、続けるのが難しい。

 恋人に告げられた言葉が何度も頭の中で繰り返される。

「なんで今なのよ……」
 社会人になってから地元の友達の紹介で知り合った彼と、三年付き合った。
 結婚だって考えていた。
 ちょうど私の誕生日の前日で、誕生日プレゼントが彼から届いた日のことだった。

「わけわかんないよ……」

 もちろん納得いかなくて、何時間も話し合った。
 それでも、彼の気持ちは変わらなかった。
 去年、彼が東京へ転勤となって、遠距離恋愛になってから一年経った今、彼の中では遠距離恋愛の辛さや、三十路近くとなり将来への不安が募ったという。
 私は病院奨学金の返済中で、あと一年は今の職場を辞められない。それが原因の一つだと。
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