失恋した夜、三白眼のエリート海上自衛官に恋しました
「はぁ」

 終わる時は、驚くほどあっけなかった。
 気づけば私は海の見える公園に来ていた。
 自宅から車で十分程度の距離にある宇坂公園。
 こんな真夜中なのだから誰もない。ただ静かに、濃紺の海面に月の光が照らされて、ゆったりと揺れている。
 その向こう側に、海上自衛隊の護衛艦の灯りが瞬いていた。
 少しだけひんやりとした潮風が頬を撫でる。

「最悪……」

 気づけば涙が頬を伝う。
 みっともない。
 二十七にもなって、恋人と別れたくらいで大泣きして。
 一度涙を拭うと、次々と雫がこぼれ落ちる。
 ぐずぐずになった顔をゴシゴシと手で拭っても拭いきれない。
 仕事ですっかり落ちきったメイクも一緒に落ちているだろうか。
 ふらつく身体で腰かけていたベンチから立ち上がり、海を背に防波堤に立ってみた。
 大きく腕を広げて深呼吸をすると、肺いっぱいに海を感じる。
 
 その時だった。

「落ちるぞ」

 どこからか低い声がした。
 驚いてそちらを見ると、そこにいたのは背の高い同じ年くらいの男性。
 白いTシャツを着ていて、広い肩にたくましい二の腕。
 そして、月の光に照らされて眼光鋭い印象的な三白眼。
 闇夜に鋭く光る目元に、私は瞬く間に捕らえられた。
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