失恋した夜、三白眼のエリート海上自衛官に恋しました
気づけば二時間近く経っていた。
「じゃあ今日はこのへんで!」
美咲の声でお開きとなり、私たちは店の外へ出た。
ほんのり冷たい夜風が火照った頬を冷ましていく。
同期たちはそのまま二次会へ流れるらしく、繁華街の方へ歩いていった。
「涼帆はどうする?」
「私は帰るよ。明日も日勤だし」
「えー! 少しでもいいから来なよー!」
しばらく二次会への参加を促されたものの、笑いながら断り、手を振る二人を見送る。
「朝倉さん」
背後からなまえが呼ばれ、振り返ると、久瀬さんが立っていた。
街灯の下でも、その三白眼はやっぱり印象的だった。
「はい」
「ひとりか?」
「そうですけど……」
「ならいい」
それだけ言って頷く。
あの日もそうだった。
ぶっきらぼうなのに、どこか優しい。
少しの沈黙が流れる。
帰らなきゃいけないのに、なぜか足が動かない。
「今日は楽しかったです」
思い切って言うと、久瀬さんは少しだけ目を細めた。
「ああ」
短い返事。
それなのに胸が高鳴る。
「久瀬さんに会えて良かったです」
口にした瞬間、自分で何を言っているんだろうと思った。
恥ずかしくなって視線を逸らす。
すると。
「俺もだ」
低く落ち着いた優しい声が返ってきた。
思わず顔を上げる。
久瀬さんはただまっすぐに私を見つめていた。
「連絡先、交換するか」
心臓が大きく跳ねた。
「え……」
「嫌ならいい」
そう言って視線を逸らした久瀬さんの横顔が、ほんの少しだけ気まずそうに見える。
「い、嫌じゃないです」
慌ててスマホを取り出す。
すると、画面越しに指先が触れそうになる。
その瞬間、手の甲の浮き出た血管が視界に入ってしまい、ドクドクと心音が大きくなっていく。
交換を終えると、久瀬さん
は小さく頷く。
「また連絡する」
言葉ひとつひとつが私の胸の鼓動を速めさせる。
失恋してから凍りついたままだった心が、ゆっくりと溶けていく。
帰り道。
久瀬さんに「送ろうか?」と言われたのを遠慮して断り、ひとりで歩いている。
スマホに登録された名前を何度も見返しては、にんまりとしてしまう。
――久瀬洋一。
もう恋なんてしないと思っていたはずなのに。
すっかり私の心は彼に夢中になっていた。
「じゃあ今日はこのへんで!」
美咲の声でお開きとなり、私たちは店の外へ出た。
ほんのり冷たい夜風が火照った頬を冷ましていく。
同期たちはそのまま二次会へ流れるらしく、繁華街の方へ歩いていった。
「涼帆はどうする?」
「私は帰るよ。明日も日勤だし」
「えー! 少しでもいいから来なよー!」
しばらく二次会への参加を促されたものの、笑いながら断り、手を振る二人を見送る。
「朝倉さん」
背後からなまえが呼ばれ、振り返ると、久瀬さんが立っていた。
街灯の下でも、その三白眼はやっぱり印象的だった。
「はい」
「ひとりか?」
「そうですけど……」
「ならいい」
それだけ言って頷く。
あの日もそうだった。
ぶっきらぼうなのに、どこか優しい。
少しの沈黙が流れる。
帰らなきゃいけないのに、なぜか足が動かない。
「今日は楽しかったです」
思い切って言うと、久瀬さんは少しだけ目を細めた。
「ああ」
短い返事。
それなのに胸が高鳴る。
「久瀬さんに会えて良かったです」
口にした瞬間、自分で何を言っているんだろうと思った。
恥ずかしくなって視線を逸らす。
すると。
「俺もだ」
低く落ち着いた優しい声が返ってきた。
思わず顔を上げる。
久瀬さんはただまっすぐに私を見つめていた。
「連絡先、交換するか」
心臓が大きく跳ねた。
「え……」
「嫌ならいい」
そう言って視線を逸らした久瀬さんの横顔が、ほんの少しだけ気まずそうに見える。
「い、嫌じゃないです」
慌ててスマホを取り出す。
すると、画面越しに指先が触れそうになる。
その瞬間、手の甲の浮き出た血管が視界に入ってしまい、ドクドクと心音が大きくなっていく。
交換を終えると、久瀬さん
は小さく頷く。
「また連絡する」
言葉ひとつひとつが私の胸の鼓動を速めさせる。
失恋してから凍りついたままだった心が、ゆっくりと溶けていく。
帰り道。
久瀬さんに「送ろうか?」と言われたのを遠慮して断り、ひとりで歩いている。
スマホに登録された名前を何度も見返しては、にんまりとしてしまう。
――久瀬洋一。
もう恋なんてしないと思っていたはずなのに。
すっかり私の心は彼に夢中になっていた。