よそ見してんじゃねーよ。〜前腕フェチ看護師が、クールな外科医の独占愛に捕まりました〜

 「どうぞー」

 次の方を迎え、同じ作業を繰り返す。

 ここは、天海総合病院の健診センター。

 今日は病院スタッフの健診日で、私は病棟から採血要員として駆り出されていた。

 スッと目の前に現れた白衣に、思わず顔を上げドキッとする。

 そのクールな無表情は、カタンっと腰を下ろし、腕を差し出した。

 「須波先生!お疲れ様です!」

 「おつかれ様。なんだ、白石か」

 テンション高めに声をかけると、温度の低い視線が一瞬私を捉え、すぐに反らされた。

 いつもと変わらない態度。

 でも、名前!覚えてくれてる!

 それだけで、発狂しそうなくらいだ。

 まさかまさかのご褒美チャンスに、胸が震える。

 きゃー!須波先生の腕!

 最高!

 いいの?私がやっちゃってもいいの!?

 心も頭も騒がしい。

 もし声が漏れていたら、チーフに怒られそうだ。

 黙って腕を私に差し出している先生が愛おしい。

 あーもう、重症だ。

 この天海総合病院の中で須波先生は、私の推しなのだ。

 そして、先生の"前腕"こそが、私の愛してやまない一推しなのだ。

 つい5秒前までは、さっきの男性がNo.1だったはずなのに。

 脳裏に焼き付けたはずの、5秒前のNo.1の映像が一瞬で吹き飛んだ。
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