winterlovesong 雨の中の恋歌

第1章

 敬子が生まれたのは30年前。 先祖代々から続く農家の三女だった。
その家に男子は居なくて5人の娘たちが団欒を飾っていた。 大祖父から数えて10人の大家族である。
 小学生ともなると敬子も姉たちに倣って田仕事に出るようになる。 夏は米、冬は麦。
苗代に種を植えて田んぼに植えられるようになるまで育てる。 それが最初の仕事だった。
 小学校に通いながら田んぼの様子を伺うんだ。 大祖父は腰を悪くしていて寝たきりになっていた。
だから指揮を執っていたのは祖父である。 完璧にやったからといってご褒美なんて貰えるはずも無い。 そこまで裕福ではなかったから。
 やっと欲しかった人形を買ってもらえたのは高校生になってからのこと。 でも文句も言わずに敬子は働いていた。
クラスの友達が遊びに来ても中へは入れなかった。 大祖父が機嫌を悪くするからだ。
敬子はいつも友達に詫びていた。 それが高校を卒業するまで続くなんて、、、。


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