常夏の甘い恋を、キミと。 〜どうやら恋の始まりはお互いフェチだった模様です〜
「…………、へぇ。」
彼の突然の自身の暴露にどう返事すればいいかわからず、とりあえず相づちをうっておく。
「俺、実は先輩のこと前から知ってて………。先輩、俺のタイプドンピシャだったから、金曜日は接点をもったんだ。それで、まだ先輩のこと完全に好きってわけじゃないけれど………、先輩も恋人欲しいんでしょ?だからさ、お互いの利益ってことで付き合わない?っていうことで………。」
「……………。」
さっきまで私のことをからかっていた彼が、今は完全に恥ずかしそうに、考えを打ち明けている。
私はそれを見て、思わず………頬が綻んでいくのを感じた。
「…………ふふっ、何それ。なんか…………。」
どうしよう、かわいいかもしれない。
私は今言われたことを正確に理解し、少し不安そうにしている桐生くんに笑いかけた。

「いいよ。その案、のった。」

「………え。」
「私が腕フェチなのは事実。それで、私も桐生くんがどタイプなの。もちろん、フェチの方の意味合いでね。それに、私も桐生くんならいいかなって思ったし。だけど、1つ。」
「………?」
私は普段のお返しっていう意味をこめて、ニヤリと笑って、からかう。
「私のこと本当に好きになっちゃうかもよ?」
「…………っ!上等。」
彼は私に、どこか挑発的な笑みを返した。
「そんな日が…………早くくるといいね?言っておくけど俺、たぶん溺愛体質だよ?」
「…………っ、こっちこそ上等だよ、『侑李くん』。」
私が不意打ちで彼の名前を呼ぶと、彼は目を見開いた。
だけど、すぐにいつもの不敵な笑みに戻る。
「………これからよろしく、陽葵?」
その笑顔に、すでに心が、明らかにフェチとは違う理由で高鳴ったのは………もうちょっと私の秘密だけにしよう。


お互いが自身のフェチに合っていたから始めたこの関係。
でも、その関係が本当になる日が案外早く来ることを………このときの私たちは、まだ知らない。

【了】
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