この時間を忘れる方法があるなら
一緒に住み始めてから1週間は本当に仕事も与えられず、この広い家に慣れるようにしてくれ、仕事が忙しいのか川崎さんは深夜に帰宅したり、そのままホテルに泊まる事もあり、私的には不自由どころかかなり自由に生きていた

お金の心配をしない生活なんて嘘みたいだ‥‥

少し前までは、日々節約をして少しでも返済に回すことしか考えてなかったのだ

いつものように冷蔵庫から食材を出して朝食を作っていると、玄関の扉が開く音に驚いた

こんな時間に‥‥帰宅?

時計はまだ朝の7時をまわったばかりで、ビクビクしていると、案の定スーツのネクタイを緩めながら帰宅した川崎さんだった。

「あ‥えっと‥おかえりなさい」

『‥ただいま』

たどたどしい敬語混じりの言葉を自信なさげに伝えると、相当疲れているのかそのままリビングのソファに背広を投げてから深く座って目を瞑ってしまった

皺になってしまうとと思い静かにその背広を手にすると、閉じられていた瞳がゆっくりと開き私をジッと見つめて来た

「お疲れでしたらお部屋で‥」

『いい匂いがするな‥‥余ってたら少し貰えないか?昨日からあまり寝てなくてまともに食べれてなくてな‥』

忙しったのが伝わるほど、顔色は青白く、美しい顔立ちは少しばかり歪められている

「すぐ用意しま‥ッ‥するね」

本当はトーストだけ焼いて残り物のスープを温めて適当に済まそうかと思っていたが、あんな顔を見た以上そういうわけにもいかなかった

急ぎながらも、瞳を閉じたままの川崎さんの不快にならないように手際よく料理をしていき、
テーブルに並べ終えると、そっと近づき肩を軽くトントンと叩いた
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