この時間を忘れる方法があるなら
恋人らしいこと‥‥って‥‥そんなこと好きでもない人に平気で出来るの?

『莉奈といる為ならこんな事何でもない‥俺にとって彼女は命の恩人でもあり、彼女がいなかったら今の俺はここにいないのだから』


川崎さん‥‥‥

初めて会ったのに、彼が彼女を想う直向きな思いに、涙が溢れそうになりながらも、何処かこんな人に自分も愛されてみたい‥‥そんなよこしまな考えをしてしまった

自分が好きになった人がそれ以上の思いを返してくれた時、どんな気持ちになるのだろうと‥


静かな車内で何をするわけでもなくただただ時間が過ぎる中、自分に課せられた事の重大さをまだこの時は分かっていなかった。


連れてこられた高層マンションのエレベーターで当たり前のように最上階の31階を押す川崎さんの隣で何も言わずに静かにしていると、これから始まるであろう同居に不安がまた増してゆく

一般的な生活しかしてこなかった自分が、こんなお金持ちそうな人と一緒に暮らせるのだろうかとも思うし、お二人のテリトリーに私が入ってもいいのかさえ分からない


『疲れただろうから早めに寝るといい。俺はまだ書斎で仕事をしてるから何かあったらノックしてくれればいい。明日は仕事はしなくてもいいから、家のことに慣れて貰えるか?』

「はい‥お気遣いありがとうございます」

『それじゃあおやすみ‥』

31階全てが川崎さんの家だと知らされると、もう色々あり過ぎて受け止められない私は、案内された寝室で用意されていたベッドにそのまま突っ伏した
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