あの時間を忘れる方法が あるなら
案内された部屋はバストイレまで備え付けでとても広く素敵だけど、すぐに出て行くことになるかもしれないから綺麗に使わないといけないな‥‥

家事は嫌でもやって来たから苦ではないし、借金を肩代わりしてもらった分は自分がやれる事できちんとお返ししたい

その日は、本当に疲れていたのか、シャワーを浴びたら眠った事のないほど寝心地のいいベッドですぐに眠りについた



ガチャ

(‥‥朝寝坊しちゃった。こんなに深く眠ったのなんていつぶりだろう‥‥。)

中学生の頃から家計を助けるためにアルバイトをこなしながら勉強していたから、初日なのに目覚ましもかけずに眠ってしまったことを起きてから後悔した

川崎さんは‥もう仕事に行ったのかな‥‥
何となく顔を合わせるのが気まずいから居ないほうがありがたいけれど‥‥


それにしてもリビングダイニングだけでも、なんて広さなんだろう‥‥

開放感ある窓際に近寄ると、いつもは見上げていたビルを上から見下ろす形に足がすくみ、それだけで放心状態になる

本当に‥夢じゃないんだ‥‥

眠って起きたら、長い夢を見ていただけ‥‥そんなことを考えて笑うはずだったのに、頬を軽くつねるとそこに感じた痛みに違う意味で笑うしかなかった

ガチャ

ドクン

『‥‥起きたのか?』

「えっ!?あ‥はい!‥お、おはようございます。」

足音に全く気付かなかった‥‥
いつからそこに居たのかは分からないけど、シャワーを浴び終えただろう川崎さんは、昨日とは違ってTシャツにスウェットのパンツを履いたラフな装いだった
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