観覧車が止まった夜、片想いが動き出した
彼も観覧車を見上げた。
瞳に様々な光が映って、横顔がいつも以上に素敵に見えた。

「さっきの、しりとりなんだけど……」

「はい?」

首をかしげる。

「“すき焼き”の続き――」

一瞬、言葉を区切って。

「“キス”と、言おうと思ってた」

イタズラっぽい目でこちらを向く。

「!!!!!」

私の反応を見て、彼は肩を揺らして笑う。


「――そろそろ、帰ろうか」

東雲さんが立ち上がると、
コートのポケットからキーケースを取り出す。

「送るよ」

車の鍵がキラリと光った。

私の心臓は限界まで高鳴っている。

ゆっくりうなずくと、彼は目を細めてやさしく笑った。

(これは、夢なの?)

伝えたい言葉はまだ、胸の奥に仕舞ったまま。

澄んだ空気の中に、ココアの甘い余韻が残る。

彼の背後で、観覧車が回っている。

さっき私たちが乗っていたゴンドラを探すと、
それはちょうど、頂点を越えていくところだった。
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