観覧車が止まった夜、片想いが動き出した
「じゃあ、私から……お、おにぎり」
こうして、唐突に始まってしまったしりとり。
東雲さんはいつも通りの声で、淡々と言葉を繋いでいく。
「からす」
「す、すなどけい」
「いす」
「す」
途中から、やたらと“す”が続く。
(もしかして、わざとかな?)
さっきから、私をじわじわ追い詰めてくる。
余裕のある顔を向けられて、焦りながら言葉を探す。
「す……す……」
考えても何も浮かばない。
でも、ここで降参したら、しりとりが終わってしまう。
何とか絞り出そうと、飲み会を思い出していたら、
ちょうどいい言葉が浮かんだ。
口を開いた、その時――
――ガタン
ゴンドラが揺れた。
「す! き……!」
驚いて、変なところで言葉を切ってしまう。
「え?」
彼は目を丸くした。
「……“好き”?」
(そんなことまだ言えませんっ!!)
「ち、違います! “すき焼き”ですよー!!」
思わず「飲み会で食べましたよね。お肉がやわらかくて最高だった!」と、
無駄な説明も早口で加えてしまった。
慌てて言い直す私に、彼はくすっと笑った。
「やっと動きましたね」
そう言うと、窓の外に顔を向けた。
「ほんとだ……!」
恐る恐る彼の肩の先を見ると、くっついていたカップルも少し離れていた。
「良かったー!」
思わず手を叩く。
その音に紛れて、彼が微笑みながら何かを言った気がした。
「……」
「え? 何か言いました?」
尋ねると、彼はチラリとこちらを見て。
「いや、何も?」
軽く首を振ると、また窓に顔を向ける。
その横顔は、なんだか楽しそうに見えた。
こうして、唐突に始まってしまったしりとり。
東雲さんはいつも通りの声で、淡々と言葉を繋いでいく。
「からす」
「す、すなどけい」
「いす」
「す」
途中から、やたらと“す”が続く。
(もしかして、わざとかな?)
さっきから、私をじわじわ追い詰めてくる。
余裕のある顔を向けられて、焦りながら言葉を探す。
「す……す……」
考えても何も浮かばない。
でも、ここで降参したら、しりとりが終わってしまう。
何とか絞り出そうと、飲み会を思い出していたら、
ちょうどいい言葉が浮かんだ。
口を開いた、その時――
――ガタン
ゴンドラが揺れた。
「す! き……!」
驚いて、変なところで言葉を切ってしまう。
「え?」
彼は目を丸くした。
「……“好き”?」
(そんなことまだ言えませんっ!!)
「ち、違います! “すき焼き”ですよー!!」
思わず「飲み会で食べましたよね。お肉がやわらかくて最高だった!」と、
無駄な説明も早口で加えてしまった。
慌てて言い直す私に、彼はくすっと笑った。
「やっと動きましたね」
そう言うと、窓の外に顔を向けた。
「ほんとだ……!」
恐る恐る彼の肩の先を見ると、くっついていたカップルも少し離れていた。
「良かったー!」
思わず手を叩く。
その音に紛れて、彼が微笑みながら何かを言った気がした。
「……」
「え? 何か言いました?」
尋ねると、彼はチラリとこちらを見て。
「いや、何も?」
軽く首を振ると、また窓に顔を向ける。
その横顔は、なんだか楽しそうに見えた。