観覧車が止まった夜、片想いが動き出した
✴︎✴︎✴︎

――そして。
今もまだ、観覧車が動かない。

遠くの道路を走る車の走行音が、かすかな地鳴りのように響いている。

チラリと東雲さんを見ると、彼は外を見つめたまま。

(やっぱり私と一緒じゃ楽しくないよね……)

時任さんがいないと、会話が難しい。
さっきから沈黙が続いている。

何か、話したい。
外ばかりではなくて、私の方も少しは見てほしい気持ちもある。

……でも、言葉が出てこない。

ふと、彼の肩越しに別のゴンドラが見えた。

カップルらしき後ろ姿。

(……え)

思わず息を止める。

(キス、してる……?)

顔にカーッと熱が集中して、慌てて視線を逸らした。

「?」

不思議そうに、東雲さんがこちらを見る。
そして、「後ろ?」と言って振り返ろうとする。

「わーーー! 待ってくださーいっ!!」

反射的に立ち上がってしまった。

「!?」

東雲さんは驚いた顔をする。

(ど、どうしよう!)

「わわっ!」

慌てた勢いで、そのまま前に倒れそうになる。

「おっと、大丈夫!?」

「ご、ごめんなさいっ!」

気づいたら、東雲さんの両腕に支えられていた。
掴まれた部分がじわじわと熱くなってくる。

焦りと気まずさでパニックになった。
たぶん、私の顔は外のイルミネーションよりも真っ赤だ。

頭をペコペコ下げて座りなおす。

こんな顔を見られたくなくて、両手を頬に当ててうつむく。

「朝倉さん……?」

東雲さんは心配そうに私を見つめている。

「え、えーっと……」

私のせいで、おかしな空気になってしまった。

(うわーん! 何か言わなくちゃ!)

そこで閃いた。

「そ、そうだあ!
――しりとり、しませんかあ!?」

ぱん、と手を打つ。

(何言ってるの、私は……!)

あまりの苦し紛れに、自分で自分に呆れて泣きそうになった。

けれど。

「いいですよ」

予想外に、彼は小さく笑いながらうなずいた。
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