限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 それまでにお金を使えなかったのに、自由に使えるようになったから妻が亡くなったから賭け事に嵌まってしまった。そうだ。私はそう思っていた。

 ……けれど、こうして薬を打たれていたとわかれば、話は違ってくる。もしかして、酒浸りも判断能力を奪って……? 嘘でしょう……。

「あ……お父様は、そうね……お母様が居た頃は、真面目だったわ……そうよ。賭け事を誰から紹介されたのかしら?」

「おい。ローレン……これは、俺たちの思っていたような、単純な話でもなかったんじゃないか?」

「え?」

 イーサンの言った言葉が今ひとつ理解出来なかった私は、ぽかんとしていたと思う。

 確かに……お父様が賭け事やお酒に溺れたのが誰かの思惑だとするのなら、色々と話は変わってくる。

「なあ……ローレン。確かに借金苦に喘ぐ貴族令嬢は、とても少ない。君はとても珍しい存在だったことは、誰もがそう思うだろう。だが、借金させること自体は可能だ。頼れる先代が居ず、家長さえ……腑抜けになれば」

「待って……すべて、これは仕組まれていたということ? 待って。だって、こんなことをしてどうなるの?」

< 141 / 169 >

この作品をシェア

pagetop