限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
そんな彼女が居たからこそ、家は多額の借金にまみれ彼女の言いなりになるしかない私が、期間限定で婚約者の座を埋めなければならなかった。
世界的にモテてしまう王子様ギャレット様のお陰で、我がメートランド侯爵家は間接的に救われることになったのだから、彼に感謝すべきなのだわ。
私もクインも……そして、他でもないお父様も。
「……ローレン」
不意に背後から聞こえて来た低い声に、私は驚いた。こんな人目のある場所で、この人が私に声を掛けるなんて思わなかったからだ。
そんな驚きをどうにか押し隠して、私は何食わぬ顔でにっこりと微笑んだ。
「イーサン。ここは王族の関係者の観覧席よ……何故、貴方がこんな所に?」
彼との関係が親しいものではないと示すように手に持っていた扇を広げた私は口元を隠し、周囲に変な目で見られないかを警戒しつつ彼に問うた。
前髪を後ろに撫で付けた黒髪に、鋭い狼のような金色の目。冷たくも見えるほどに整った顔の口元には、皮肉げな笑みを浮かべていた。
世界的にモテてしまう王子様ギャレット様のお陰で、我がメートランド侯爵家は間接的に救われることになったのだから、彼に感謝すべきなのだわ。
私もクインも……そして、他でもないお父様も。
「……ローレン」
不意に背後から聞こえて来た低い声に、私は驚いた。こんな人目のある場所で、この人が私に声を掛けるなんて思わなかったからだ。
そんな驚きをどうにか押し隠して、私は何食わぬ顔でにっこりと微笑んだ。
「イーサン。ここは王族の関係者の観覧席よ……何故、貴方がこんな所に?」
彼との関係が親しいものではないと示すように手に持っていた扇を広げた私は口元を隠し、周囲に変な目で見られないかを警戒しつつ彼に問うた。
前髪を後ろに撫で付けた黒髪に、鋭い狼のような金色の目。冷たくも見えるほどに整った顔の口元には、皮肉げな笑みを浮かべていた。