限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 今こんな場所で会っているのが知られてしまうと、良くない。

「ああ。まだ他人だ。だが、未来の妻の体に傷が付いてしまうのは、とても見ていられなくてね」

 イーサンは無遠慮に私に近づき、首に掛けてあるネックレスを持ち上げた。

 私自身には見えないけれど金に反応して、肌が炎症を起こし赤くなっていると思う。いつもは化粧室でおしろいをはたいて誤魔化すのだけど、めざとい彼には見つかってしまったようだ。

「これは、いけない。こうなれば無理もないが、体調も悪いだろう。隠そうとしていたようだが、気分も悪そうにしていたな……金が肌に合わないのであれば、俺が何か同じようなものを贈ろうか?」

「いいえ……結構よ。仕事の報酬としてのお金なら、頂くわ。けれど、貴方から施しを受け取るなど、私はしたくないわ」

 イーサンは大富豪で私が今付けているような高価なネックレスも、同じようなものだって、何個でも望み通り贈ってくれることだろう。

 けれどそれは、彼の恋人でも妻でも愛人でもないのなら、むやみやたらと高価な物を貰うべきではない。

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