限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 借りはいつか、返さなければならないのだから。返せなくなって首が回らなくなるのは、借金だけでもうこりごりよ。

 彼のような金勘定にうるさい男においては、特にそう思う。今まさにお金に困っている私であっても、無料より怖いものはないって思うもの。

 イーサンはこのまま予定通り私と恋に落ちる演技をし結婚すれば、王妃から報酬に男爵位を賜り、落ちぶれていると言えど侯爵令嬢を妻に出来る。

 唸るほどにお金を稼ぎ、貴族としての爵位が喉が出るほど欲しがっていた商人の彼だって、悪くない取引だと踏んだのだろう。

 未来の王の怒りを一時的に買ったところで、彼とて次の相手が出来ればすぐに冷めてしまうだろうと。

「何故……そうなるとわかっていて、そのネックレスを身に付ける? 体を痛めつけたいのか? 美しい白い肌なのに、跡が残ってしまうだろう……」

「何故ですって? イーサンだって、良く知っているのではないかしら。私の肌に合わないからと、婚約者の証として貰ったネックレスの作り直しをお願い出来る身分ではないことを」

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