限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 ギャレット様は白いレースで出来た日傘を私へと差し掛け、私は慌てて手に持っていた手紙を小さく折りたたみ、隠しポケットへとそれを隠した。

「いいえ。親しい友人からですわ。ギャレット様は……今日は?」

 王太子は、特にご多忙なのでは? という意味で聞いたのだけど、どうやら彼はそうは思わなかったようだ。

「ああ。少しだけ時間が出来たので、ローレンに会いに来た。庭園に居ると聞いたから、以前に作らせていた日傘を持って来たんだ。どう? 気に入った?」

「そうなんですね……はい。軽くて可愛くて、ありがとうございます」

 私は彼から日傘を受け取り、ギャレット様は隣に腰掛けた。私のドレスの裾はパニエで広がり、それに触れまいとするなら、少し距離を必要とする。

 それなのに、ギャレット様は完全に触れているし、息が掛かりそうなほどほど近くに居る。

 私はそれとなく彼が居る逆方向に移動すれば、ギャレット様も同じようにそうする。

「あの……」

「何?」

 素知らぬ顔のギャレット様だって、私の言いたいことがわかっているはずだ。近過ぎるって思うから、こうして離れようとしているのに。

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